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神戸家庭裁判所尼崎支部 昭和41年(家イ)409号 審判

申立人 松原カヨ子(仮名)

相手方 松原志寿夫(仮名)

主文

本件につき当裁判所が昭和四三年四月五日にした審判を取消す。

理由

本件について調停委員会の調停が成立しないので、当裁判所は昭和四三年四月五日家事審判法二四条による審判をした。そして、相手方に対しては同月九日審判の告知がなされたのであるが、申立人はその後所在不明となり調査を続けるも現在に至るまで判明せず、通常の方法による告知ができない。

このような場合、審判の告知は公示送達の方法によることもできると解されるが、家事審判法二四条による審判の場合はその性質上その裁判所が相当と認めるときは審判が確定するまでの間に限り自ら審判を取消すことができるものと解するのが相当である。

本件の場合は審判後すでに四年八か月を経過し、当時未成年であつた当事者間の子五人のうち二人がすでに成年に達しており、三男秀夫と生活を共にしていると推測される申立人のその後の生活状況はまつたく明らかでない。このような事情のもとにおいて公示送達の方法により恐らくは審判を確定させる結果に導くことは、家事審判法二四条の趣旨に反するものであり、本件の円満な解決に資する所以ではない。

よつて上記審判を取消すのを相当と認め、主文のとおり審判する。

(家事審判官 堀口武彦)

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